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手にポケットを入れる

先輩「頼さん、電話です。旦那から。笑」

頼「・・・はい」

先「あはは!嫌そうな顔!」

毎日何度も電話がかかってくれば嫌にもなる。

『旦那』と呼ばれるその人は、

大手広告代理店の営業で、私が担当することになった。

ストーカー男だと皆がからかう。

打ち合わせは終わっているにも拘らず、一日に何通もメールが届き

電話は多い日で5回、そんな状態が1ヶ月以上続いた。

よほど気に入られたのだと同僚たちは言うが

単に彼の要領が悪いだけなのではないか。

先「用件は何だったの?」

頼「今日は忙しいですかと聞かれたので、暇ではありませんと答えました」

先「頼さんと電話で話したいだけなんじゃない?笑」

頼「・・・今からこちらに来るそうです」

先「うそやん!」

加藤鷹系はタイプではない。

ましてや段取りの悪い人なんて。

 

 

『時々男を感じる』と、何度言われただろう。

嬉しくない。

同性を愛する私だが、気持ちはいつだって女だ。

乙女なのだよ。

先「でも宮崎あおいちゃんが好きなんだよね?」

・・・だから何やっちゅうねん。

誤解しないでもらいたいのだが、

私は男性の目線で女性に接しているわけではない。

男になったことがないから目線も何も、分からないけれど。

「無性に頼さんに甘えたくなる時があるよ」

「わかる!包容力があるよね」

ありませんよそんなもの。

新が聞いたら鼻で笑われそうだ。

 

虫が出た時もそうだった。

「ぎゃー!虫!頼さん取ってー」

「・・・なんで私?」

新が居ない場所では、私はただの面倒臭がりな女だ。

ゴキブリが平気で、尚且つ宮崎あおいちゃんが好きな女性なんて

ごまんといるだろう。

酒飲みでスカートを穿かない女性だって、いくらでもいる。

それだけで『男っぽい』というレッテルを貼られるのは困る。

プリンを食べただけで大騒ぎされてしまうという。

プリンくらい食べるっちゅうねん。

 

先「妻は今晩何を作ってくれるの?」

頼「中華丼だそうです」

先「むかつく!」

・・・何故。

私には旦那も妻も居るのか、忙しいな。

新は妻と呼ばれている。

例えば私と新が結婚できるとする。

私にとって、新を『妻』と形容するのも『夫』と呼ぶのも、違う。

違和感がある。

きっと新も同じだろう。

当然といえば当然だが

性的役割のない私たちだから余計にそう感じるのかもしれない。

もっとしっくりくる言葉があればいいのに。

 

新のことを可愛いと思う私だが、新に可愛いと言われると嬉しいし

彼女に対して『頼りにして欲しい』とか『守ってあげたい』とかそんな感情はない。

逆に新にそう思われたい気持ちもない。

少なからず、良く思われたい、必要とされたいという思いはあるが

人と付き合っていれば自然な感情でしょう。

新「私は頼に甘えたいって思うよ

そうっだったの?

 

 

2日間、謎の腹痛に襲われた。

尋常ではない痛みに耐えながら仕事をする。

先「大丈夫?」

頼「・・・だ、大丈夫です」

先「帰ったら妻が看病してくれるから心配いらないか。笑」

そうなのだ。

私は心のどこかで、家に帰れば大丈夫だと思っている。

何かあればいつだってそう、

新の居る家に帰れば何とかなると思っているのだ。

根拠もなく。

充分に甘えているではないか。

守られているではないか。

 

お腹をさすってくれる手が、気持ち良い。

新「今日ね、手にポケットを入れたらね・・・」

頼「ポケットに手を入れたら、でしょう」

新「へへへ」

可愛い。

やっぱりこの人可愛い。

 

 

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コメント

腹痛は大丈夫ですか?
手を当てて治すから手当てなんですよね。
ポケットに手を入れたらどうなったんですか?

投稿: みち | 2008年12月12日 (金) 23時38分

>みちさん
お優しいんですね、有難う。
なるほど・・・素敵。
無いオチを聞かれることは
大阪人にとっては恥ですよ。笑

投稿: 頼 | 2008年12月16日 (火) 01時17分

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